2009年3月31日火曜日

四コマ漫画の序破急

『知の編集術』(松岡正剛・講談社現代新書)から。▼日本語の「すみません」は「澄みません」あるいは「済みません」である。その場の空気を乱して澄まなくなったという意味でもあるし、やるべきことが済んでいないという意味でもある。「さよなら」は「左様ならば失礼つかまつる」が原形で、それが「さようならば→さよなら」と省略されていった。▼二十一世紀は「主題の時代」ではなく「方法の時代」になるだろうと考えている。つまり二十世紀においてだいたいの主題は出尽くしたが、その展開が意外にも難題をたくさん抱えていることがわかった。たとえば平和、教育問題、安全保障、経済協力、環境保全、飢餓脱出など。しかし、事態は決してうまくは進んでこなかった。それゆえ、おそらく問題は「主題」にあるのではない。きっと、問題の解決の糸口はいくつもの主題を結びつける「あいだ」にあって、その「あいだ」を見出す「方法」こそが大事になっているはずなのだ。▼要約編集の場合には、ある量の情報内容をできるだけ短く集約してみる。自分なりに重点が拾えたら、これらを並べ直す。これは「関係づける」ということである。重点をそのまま放っておかないで、多少とも並べ直す。編集術ではそのことが重要になる。▼私はマンガ家を編集術の先生としてたいへん尊敬している。コマ割りのしかた、絵の描き方、ストーリー展開のうまさ、いろいろ尊敬しているが、それらを学ぶには、四コママンガに取り組むのが一番いいだろう。なにしろそこには起承転結がある。世阿弥はこれを「序破急」という三段階にしているが、こういうしくみを「スクリプト」といい、なかで四コママンガやミステリーやサスペンスのように読者をちょっとひっかける伏線に注目したつくりかたを「プロット」(罠)という。▼植田まさし『かりあげクン』(双葉社)の四コマを使って編集稽古ができる。まず、誰かに吹き出しのセリフを白地にしてもらったら、そこに自分なりのセリフを入れる。四コマなので起承転結を必要とする。しかも笑わせなければいけない。が、どこで笑わせるかは、必ずしもオチでとは限らない。伏線が重要になる。三月三十一日(火)

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