2009年3月13日金曜日

覚醒と紙障子

『アジアの旅―風景と文化』(ディエス・デル・コラール/未来社/1967)から。▼日本の家屋で眼を覚ますと、睡眠と覚醒との間の移行が西洋の日常よりはるかに穏やかなように思われる。大抵の場合、曙の光が紙障子の広窓を通して侵入しながら、目覚めさせる役を引き受けているのである。眠っている者は、いきなり猪突にではなく、むしろ網膜の底を愛撫しながら、次第に光のよろこびの前に身支度をさせていくような微かな照射のおかげで、気づくともなく徐々に目覚めていくのである。日本人はかくて、日の出のその初めから日と一体となる。▼遮光カーテンの場合、ドンと光が飛び込み目が眩む。思わずカーテンを閉じる。こんどは恐るおそる少し開いて、光量を抑える。なんてことをしていたアラスカの旅を思い出した。緯度の高いところは圧倒的に遮光カーテンですね。寝不足になちゃいますから。三月六日(金)

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