2009年9月19日土曜日

土建国家60年

『道路をどうするか』(五十嵐敬喜・小川明雄/岩波新書)から。▼1953年に「道路整備費の財源等に関する臨時措置法」が議員立法で成立した。ここでなによりも指摘したいのは、道路整備五カ年計画は建設大臣が策定し、同僚議員で構成する閣議で決定すれば成立するという点である。これだけ大規模な全国計画は、旧ソ連でも現在の中国でも形式的であれ国会に相当する国家機関で議決されている。それが日本では、国権の最高機関である国会が無視され、「道路の暴走」が続く。▼さらにこの法律の第三条では、従来一般財源だった揮発油税を、自動的に道路五カ年計画に充当することにした。さらに途中で財源を二倍にする暫定税率まで登場して今日まで続いている。道路利権に群がる政官業は打ち出の小槌を手にしたのである。▼もしも、道路特定財源が暫定税率ととともに一般財源化されていたら、前後日本の財政や国あり方を歪めてきた「土建国家」を卒業できたのである。国と地方分で六兆円近い一般財源ができれば、福祉や教育に回し、また高速道路やバイパス建設に圧迫されてきた生活道路を優先的に整備できただろう。▼道路から生活への選択を急がねば。九月十九日(土)

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