2009年2月25日水曜日

武器の流れ

『インテリジェンス/武器なき戦争』(手嶋龍一・佐藤優/幻冬舎新書)から。▼中東と北朝鮮のリンケージ(連携)が日本には見えていない。ミサイル実験が成功したか失敗したかを考える上で大事なのは、スカッドと日本を射程に収めるノドンは五発の連射に成功したということです。その発射現場に、イランのバイヤーが十人以上来ていたという情報がある。取引のために、目の前でノドンの性能を見せたということです。そこで重要なのは、イランの「シャハブ3」というミサイルがノドンのコピーだという「公然の秘密」です。つまり、日本がODA(政府開発援助)やアザデガン油田開発でイランに落とす金が、北朝鮮のミサイルを向上させることに使われる可能性がある。ですから、イランから石油を買う場合でも、それが大量破壊兵器の拡散につながらないという言質をとらないといけません。▼その点で注目すべきは、「X55」というウクライナ製の巡航ミサイルです。ウクライナ政府は、X55がイランと中国に少なくとも六基ずつ流れたことを認めている。未解明ですが、そのうちのいくつかが、最終的に北朝鮮に流れている可能性がある。▼僕(佐藤優)が外務省の同僚に言ったのは、まずコーランを読めということです。岩波文庫三冊だから、二週間あれば読めるんです。ゲルナーの『民族とナショナリズム』も五日で読める。それからもう一つ、イスラムの現代の政治について書かれたオックスフォード大学出版局からでてる『イスラム・真っすぐな道』という定本も含めた三冊を読んでこいといったわけです。▼佐藤ラスプーチンは「秘密情報の98%は公開情報を再整理することで得られる」と言う。これは田中宇のレポートが証明している。二月二十五日(水)

2009年2月19日木曜日

トロツキストの陰謀

田中宇の古いブログから。オバマ政権に移行しても、このことは知っておいた方が。▼米本土に米軍を駐留させて、テロリストの疑いがある国民(貧乏人)を取り締まれ、と最初に言い出したのは、911からイラク泥沼化まで、ブッシュ政権内で力を持っていた「ネオコン」であるが、その元祖的存在であるアービン・クリストルらは、かつてニューヨークでトロツキストとして活動していた。トロツキスト(トロツキー派)は、ロシア革命に参加した勢力の中で、革命をロシア一国だけでなく、世界に拡大すべきだと主張していた革命家たちで、ユダヤ人が多かったが、ロシア第一主義のスターリンは、トロツキストの国際主義に疑いを持ち、政権から追放した。▼トロツキーは革命に参加する前、ニューヨークに滞在しており、革命に参加するとすぐに指導者となり、ソ連の初代の外務大臣になって国際共産主義運動を指揮し、中国などへの革命の拡大を図った。トロツキーらは、ニューヨークの資本家から支援され、国家資本主義の効率をさらに上げるための世界革命を起こそうとした疑いがある)▼ トロツキストがネオコン(新保守主義)になり、表向きは「保守」を掲げて米単独覇権主義を標榜しつつ、実際には重過失的にイラク戦争とテロ戦争の大失敗を引き起こし、結果的に、左翼革命家が果たせなかった米資本主義の崩壊を、内側から実現した。「資本家」と「左翼」は敵どうしのはずだという常識を外して考えると、そのような推測が成り立つ。 ▼虚実こもごもだが、この推測は考えられます。二月十九日(木)

2009年2月7日土曜日

なつめろ読み

『「甘えの」の構造・増補版』(土居健夫・弘文堂)から。▼人情は依存性を歓迎し、義理は人々を依存的な関係に縛るということもできる。義理人情が支配的なモラルであった日本の社会はかくして甘えの瀰漫した世界であったといって過言ではない。▼伊丹十三が、日本人論は土居健夫「甘えの構造」と川島武宜の「日本人の法意識」を読めばいいとう話を思い出し増補版を再読。甘えの例証・傍証が多様かつ膨大でありました。図式化すれば数ページで収まりそうでした。ということで、さらに思い起こせば、70年代は、イ・オリョン「縮み志向の日本人」とか中根千枝「タテ社会の日本人」などの日本人論が盛んでした。二月七日(土)